POSTER

坂本龍一

2021年3月初旬、大きな手術をして長い入院の末、新しい仮住まいの家に「帰って」きた。
少し体が回復してきた3月末のこと、ふとシンセサイザーに手を触れてみた。
何を作ろうなどという意識はなく、ただ「音」を浴びたかった。
それによって体と心のダメージが少し癒される気がしたのだ。
それまでは音を出すどころか音楽を聴く体力もなかったが、
その日以降、折々に、何とはなしにシンセサイザーやピアノの鍵盤に触れ、
日記を書くようにスケッチを録音していった。
そこから気に入った12スケッチを選びアルバムとしてみた。何も施さず、あえて生のまま提示してみる。
今後も体力が尽きるまで、このような「日記」を続けていくだろう。
※オリジナルアルバム「12」メッセージより引用


(坂本龍一)