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苗場での25回開催の記念回を迎えるFUJI ROCK FESTIVAL。毎年入場ゲートでゴミ袋が配布されていますが、実はオリジナルのゴミ袋が登場したのも苗場開催初年! ゴミ袋の歴史も今年25回になります。 ということで、こちらでは主にタワーレコードのデザインによるゴミ袋の歴史をエポックメイキングなものを中心に振り返りたいと思います。
■1997年富士天神山スキー場、1998年豊洲ベイサイドスクエア
1997年フジロック第一回の開催の際、タワーレコードへの参加打診があったのが開催1週間前!? 当時の社長の命により「LPバッグであれば荷物を入れるのには役に立つのでは?」というアイデアで持って行ったのが、店舗で使用されているLPサイズのショッピングバッグ。
台風の直撃を受け、荷物入れではなく、皆さんが帽子としてかぶったり、シューズを守るためにシューズの上から履いて使用されていました。 大勢のお客さんがタワーレコードのショッピングバッグをかぶっていたことから、第二回のベイサイドスクエア開催の際には、フジロックの正装はこれだ!と、ホフディランがステージにLPバッグをかぶって登場。電気グルーブの瀧さんも先日ラジオで紹介されていました。
瀧さんの結論 「タワーの袋は、最終的に人を助けます。」
https://miyearnzzlabo.com/archives/36892
LPサイズのショッピングバッグは、第二回の会場でもメインステージとサブステージの間のタワーレコードブースで配布されました。
(以降、苗場開催)
■1999年、2000年、2001年
現在もパートナーシップをもちサポートしているNPO”iPledge”(旧A SEED JAPAN)ですが、第二回の会場では別々に活動しつつ、本格的な活動は苗場開催年から。苗場開催の初めはシンプルなテキストのメッセージでした。
ちなみに、今ではノベルティやアーティスのグッズとしてすっかり定着しているタオルですが、最初にフェスで配布されたのは2002年。実は、前年タワーレコード広島店移転オープンのノベルティとして制作された在庫を持って行って使用したのがきっかけ。スカパンク、パンクロックが全盛の時代。短パン、Tシャツ、スニーカー、頭にはタオル! というスタイルがライブの主流だったことから、タワータオルが各フェス会場で大ブレイクし、各アーティストもグッズとして制作するようになりました。実はアーテイストタオルのルーツもフジロックとタワレコ…(当社比)
■2002年 横尾忠則、立花ハジメ デザイン
ゴミ袋の大きな変化の一つになったのが2003年。これまでのテキストのメッセージ中心から、デザイン重視のゴミ袋に変更されました。ゴミの分別回収がある程度定着してきたこと、入場ゲートでこれからフェスを楽しめるようなデザイン&メッセージの方が、逆にメッセージも読んでもらえるのではないか、というA SEED JAPANの担当者のアイデアでした。
デザインは、当時、立花ハジメさんがタワレコのレーベルからリリースしていたジャケットのデザインをお願いして使用。横尾忠則さんと立花ハジメさんによるもの。
■2003年 CLUB KING デザイン
ゴミ袋の大きな変化、その2。2004年から、配布するゴミ袋を、前年回収したペットボトルをリサイクルして制作する取り組みがスタート。この取り組みは2019年ので継続されました。その他、会場のビールの紙コップをトイレットペーパーにリサイクルするなど「イベント内資源循環」が始まり、フジロックの環境負荷の軽減策が本格的に始まるきっかけになりました。
デザインはスネークマンショーなどでおなじみCLUB KINGとのコラボで、ゴミ袋の男の子と女の子の顔には、よく見るとコメディが書いてあります。コピーはALL YOU NEED IS LAUGH!
■2004年 岡本太郎 Be Taro! デザイン
フジロックと岡本太郎!?。 現在、渋谷駅に設置されている岡本太郎の「明日の神話」の大壁画。長年行方知れずだったこの壁画が南米で発見され、国内の岡本太郎ファンの間で日本に持ち帰る活動がスタートしようとしていました。その際、関係者の間で問題になったのは、「若い世代が岡本太郎を知らないのでは?」ということ。そこで、相談を受けタワーレコードが企画したのがフジロックでの岡本太郎ゴミ袋。(もちろん公認) この年はノベルティとして岡本太郎の顔Tシャツも制作されました。Be Taro!のコピーは糸井重里さんによるもので、翌年より大々的にメディアが参加したキャンペーンがスタートしています。
■2005年、2006年、2007年 NEW POWER GEAR デザイン
2005年以降もタワーレコードデザインのゴミ袋が制作されていますが、こちらでは「廃油リサイクルによるバイオディーゼル燃料や太陽光」エネルギーで電力でを賄おうという「NEW POWER GEAR」の取り組みをPRしたデザインをご紹介。 AVALON FIELDから始まったこの取り組みは、そのあとボードウォークの照明、他ステージの電源へと拡大。2024年の現在、キャンプエリアの照明等にも拡大して取り組み継続中。
■2008年 FUJI ROCK FESTIVAL 10周年
フジロック10周年、国内外で日本を代表する野外フェスとなり、「フジロッカーズ」という呼び方もすっかり定着。ゴミ袋にもこの年発売されたフジロックの歴史を記録したDVDのタイトルをデザイン。タワーレコードのデザインには「OPEN-ENDEDNESS」=終わりのない地球の進化のように、フジロックもますます進化することをテーマに、デザインチーム7STARSによるデザイン。
■2009年 FACE THE MUSIC タワーレコード30周年
2009年は、2005年スタートした「廃油リサイクルによるバイオディーゼル燃料や太陽光」という自然エネルギーを使ってステージなどの電力を賄おうという「NEW POWER GEAR」の取り組みが、AVALON FIELDからボードウォーク全体、FIELD OF HEAVENなどフジロック会場の奥に拡大していることを伝えています。またタワーレコード30周年のデザインのテーマは「FACE THE MUSIC」。FACE THE MUSICは「自分の行為に対して進んで責任を取る」という意味で使用されるイディオムで、「自分のことは自分で」というフジロックのメッセージとの親和性もあるメッセージを発信しています。
■2010年 STUSSYデザイン
2010年はタワーレコードがSTUSSY 30周年とのコラボレーションをしていたことから、STUSSYのショーンフォントと呼ばれる手書きフォントで「THINK MUSICAL, ACT LOCAL!!!」のメッセージがシンプルにデザインされゴミ袋に。この年は同じデザインでTシャツも制作され、フジロックの会場でもノベルテイとして使用されています。
■2011年 東日本大震災支援メッセージ デザイン、フジロックの森 活動スタート
2011年は3月に東日本大震災が発生。タワーレコードは震災支援活動として「MORE ACTION, MORE HOPE.」のメッセージとともに店舗、各イベントなどで支援活動を実施している最中ということもあり、フジロックでも同様のメッセージデザインに。
一方、フジロックは「自然と音楽の共生」をテーマに取り組んできた様々な活動を、2011年より、新潟県、湯沢町、苗場のみなさんとともに会場周辺の森林環境を守る「フジロックの森プロジェクト」として始動。タワーレコードもNEW POWER GEARと合わせて参加しています。
■2012年
まだまだ東日本大震災の影響が残る2012年。フジロック自体も様々な社会状況を見ながら開催されていたという印象もあり、タワーレコードも派手なメッセージは打ち出さず”A SEED JAPAN”との活動15周年デザイン。 フジロックの森プロジェクトは毎年参加企業が増えていくのが協賛社名から確認できます。
■2013年、2014年、2015年 REVOLUTION
震災の影響で様々な改革が求められたこの頃、フジロックとしては新たなファンの取り組みとして大幅に出演アーティストの邦楽強化を開始。また、ごみゼロナビゲーションの活動のパートナー団体は2014年にA SEED JAPANから独立、新しくNPO”iPledge”設立と、様々なところで新しい動きが活発になってきた年。
タワーレコードのメッセージは「REVOLUTION」 (R-LOVE-UTIONになっているのが分かるでしょうか)。 このメッセージのアイデアは、担当者がたまたまベルリンの壁の落書きからヒントを得て制作されました。
■2016年 フジロック20周年 忌野清志郎デザイン
フジロック20周年を記念したフジロックとの全面コラボデザイン。フジロックといえば! ということで、忌野清志郎さんをイラスト化したゴミ袋が配布されました。イラストは当時小学生だった福岡在住の天才画伯モンド君が、夏休みの宿題?として描いてくれたもの。 NO FUJIROCK, NO LIFE. のポスターなども制作され、フジロック期間中、越後湯沢の駅にも掲出されました。この年からタワーレコードブースでは、(利益の為ではなく)フジロックの盛り上げの演出の一環としてデザインしたTシャツなどの販売も開始しています。
■2017年、2018年、2019年 MAD BUNNYデザイン
フジロックの森プロジェクトのサポートやPRも含め、タワーレコードではボードウォークでディスプレイされ人気を博していたMAD BUNNYとのコラボをスタート。 この頃から海外のお客さんの増加が顕著になり、改めて会場内のマナーの徹底などがテーマになっていたこともあり、楽しく、おしゃれ?にKEEP CLEANのメッセージを発信。
■2020年 コロナ禍により開催ナシ
■2021年 コロナ禍での縮小開催
コロナ禍での1年開催見送りを受けた縮小開催年。メッセージはそんな条件下でも、制約を守りつつフェスを楽しもうというメッセージを発信。メッセージは「ROCK (DOW)’N & ROLL」。
この年から、長年前年回収されたペットボトルをリサイクルしたゴミ袋から、非食用米由来のバイオマスプラスチックのゴミ袋に変更されています。(コロナで人の口をつけたペットボトルの回収、分別などが困難になったため。)分別のメッセージも2021年ならではの「自分のゴミは自分で!」分別を呼び掛けています。
■2022年 LOVE PEACE
2022年は2月24日に発生したウクライナ侵攻を受け、LOVE PEACEのメッセージを発信。強いアピールにするためプラカードに敢えてメッセージを入れてデザイン。 この年のTシャツは、黄色と青のウクライナカラーのMAD BUNNYも制作されました。
■2023年 MAKOTO YAMAKI デザイン
2023年より新たにハンドレタリングでデザインを行うイラストレーター山木真氏とのコラボレーションがスタート。音祭夏楽をテーマに、富士山、新潟県の県鳥トキ、夏の太陽をモチーフにデザインされています。
同じデザインで制作されたTシャツなどは、特に海外からのお客さんの増加を受け、最終日の午前中にはすべて完売するほど。ブースの装飾で使用している暖簾の様な備品まで購入希望が。
■2024年 苗場開催25回記念デザイン
2023年に続き山木真さんによるハンドレタリングのデザイン。富士山、新潟の県鳥トキ、苗場開催25回を祝うダルマをモチーフに制作されています。
いかがでしたでしょうか。フジロックで配布されているタワーレコードのゴミ袋の歴史。
毎年、それぞれメッセージがあることがお分かりいただけたでしょうか。
是非会場の入場ゲートで受け取っていただき、フジロックとしての自然と音楽の共生をテーマにした取り組みや、NPO iPlegdeの活動にご協力よろしくお願いいたします。